講座詳細
冬季集中講座「日本経済の『失われた30年』と再生の処方箋を考える」
ー我々はなぜここに至り、今後どうすべきなのか【オンライン】
講座趣旨
かつて世界経済の優等生と言われ、脅威とも受け止められた日本経済は今やその面影もありません。スイスの研究機関IMDの世界競争力年鑑で1989〜92年まで1位であった日本は2023年にはタイ(30位)、インドネシア(34位)にも追い抜かれ、64か国中35位にまで落ち込みました(アジア14か国中で11位)。被引用数で測った注目論文数シェアで1997〜99年平均で米国に次ぐ世界2位であった日本は、2019〜21年平均でスペイン、イランに次ぐ13位、トップの中国の14分の1以下となっています。1人当たりGDP(ドル建て、IMF)で見ても、為替レートの影響もありますが、1995年に米国の1.5倍で世界第3位であった日本は、2023年には3万3,950ドルと米国の半分以下で世界31位(シンガポール、香港、英国、イタリアよりも下位)にまで後退しました。
このような誰も予想しなかった状況に陥った原因については、様々な議論が行われ、様々な措置が講じられてきましたが、趨勢的な経済成長率は1%を割り込んでおり、根本的な変化は起きていません。
何がこうした事態を引き起こしているのでしょうか。日本経済がここに至った道筋をたどることにより停滞の原因を探り、ここから脱却するためには何が必要なのか受講者とともに考えます。この冬季集中講座に参加して、日本経済の実態に迫ってみませんか?
・本集中講座は、第1回の2/17(土)の午前中に1コマ50分を3コマ連続で学び、第2回の2/24(土)は質疑応答と意見交換の時間に90分を充てます。第1回の2/17(土)は各コマの間に10分間の休憩時間を設けます。
こちらのサイトからお申し込みください。Peatixからのお申し込みとなります。
https://wis0217feb.peatix.com/
<留意事項>
・Zoomオンライン会議システムを使った「オンライン講座」です。インターネット環境と端末については、ご自身で用意してください。
講座概要
講座日程 | 2024年 2月17日 (土),2024年 2月24日 (土) |
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時間 | 下記をご確認ください。 |
定員 | 24 人 (先着制) |
回数 | 2回 (通し受講のみ。2月17日は3コマ、2月24日は1コマです。) |
受講料 | 3,500 円 |
教 材 | レジュメ資料 |
難易度 | ★★☆ |
会 場 | 下記をご確認ください。 |
申し込み | Peatixでのお申し込みです。左のリンクからお申し込みください。 |
受付期間 | 1月4日(木)午前9時30分〜2月16日(金)午後9時 |
※スクロールしてご確認ください→
日程 | 開催時間 | 会場 | 担当講師 | 内容 |
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第1回 2月17日 |
10時00分〜12時50分 | オンライン(Zoom) | 荒巻 健二 | 第1限 バブルの形成と崩壊、金融危機と企業行動・日本経済の変貌(10:00〜10:50) 日本経済の現在と過去の対比から本講義が取り扱う問い(「我々はなぜここに至ったのか」)を提示し、そのうえで、時代を遡ります。まず、1980年代の巨大なバブルの形成と90年代初頭のその崩壊から説き起こし、90年代後半の金融危機、その後の企業行動の変貌をたどり、80年代から2000年代初めにかけ日本経済に何が起こったのか事実関係を把握します。 第2限 危機克服、低迷の継続とアベノミクス(11:00〜11:50) 日本経済は、2000年代半ばまでにバブルの崩壊と金融危機の衝撃を克服しましたが、それにもかかわらず、その後も低迷を続けました。これを受け、2013年に長期低迷からの脱却と日本経済の再生を目指す包括的な経済政策「アベノミクス」が本格的に始動しましたが、それはどのような理念に基づく、どのような政策措置であったのか理解します。 第3限 アベノミクス後の日本経済と課題(12:00〜12:50) アベノミクス、そしてコロナ危機を経て日本経済はどのように変化したのか、あるいは変化しなかったのでしょうか。バブル崩壊から30年、金融危機から25年を経た現在の日本経済の何が問題なのか、その原因は何か、何をなすべきか考えます。 |
第2回 2月24日 |
10時00分〜11時30分 | オンライン(Zoom) | 荒巻 健二 | 日本経済の課題は何か―質疑応答・ディスカッション 第1〜3限の内容に関する質疑を行うとともに、日本経済の根本的な課題は何か、ディスカッションを行います。 |
講師
荒巻 健二(あらまき けんじ) | 昭和女子大学客員教授、東京大学名誉教授
1974年 一橋大学社会学部卒業、1976年 同法学部卒業・大蔵省入省 1980年 オックスフォード大学大学院経済学修士 1987年 IMF(国際通貨基金)財政局エコノミスト 1996年 大蔵省国際金融局開発金融課長 1997年 長崎大学経済学部教授 1999年 経済企画庁調整局財政金融課長、京都大学客員教授 2001年 京都大学経済学博士 2004年 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授 2014年 ロンドン大学東洋アフリカ研究学院客員教授 2017年 東京大学名誉教授、東京女子大学現代教養学部特任教授 2023年 昭和女子大学客員教授 (主な著書)『君たち文系はどう生きるか−東大で「鬼」と呼ばれた教授が伝える人生に活きる授業と成長へのヒント』昭和女子大学出版会(近刊) 『日本経済長期低迷の構造−30年にわたる苦闘とその教訓−』2019年 東京大学出版会 “Japans Long Stagnation, Deflation, and Abenomics” 2019 Palgrave Macmillan 『金融グローバル化のリスク−市場の不安定性にどう対処すべきか―』2018年 日本経済新聞出版社 『アジア通貨危機とIMF−グローバリゼーションの光と影−』1999年 日本経済評論社 |