講座詳細

数学の夕べ 1月
オイラー標数――位相幾何学の基本的不変量

D2251400.pdf

講座趣旨

国際基督教大学 寄付講座
“数学の夕べ”
 数学は新たな視点を加えながら現在も発展を続けています。特に近代以降の数学から数多くの興味深いトピックが生まれました。容易にはアクセスできず、知られていないものも多くあります。
 近年は、数学についての啓発的な書物も多く出版され、三鷹ネットワーク大学で開講する小林一章先生の講座を含め、興味深いトピックがより深く取り上げられる機会も増えています。
 本講座では、そのような興味深いトピックの中から一つ選んで、数学の視点や発展の様子などを紹介していきたいと思います。講座の中で、必要な予備知識もできるだけ説明する予定です。

講座概要

講座日程 2023年 1月13日 (金)
時間 19:00〜20:30
定員 25 人 (先着制)
回数 1回
受講料 500 円
難易度 ★★☆
会 場 三鷹ネットワーク大学
受付期間 12月6日(火)午前9時30分〜2023年1月12日(木)午後9時

※スクロールしてご確認ください→

日程 開催時間 会場 担当講師 内容
第1回
1月13日
19時00分〜20時30分 三鷹ネットワーク大学 土屋 あい子 オイラー標数−位相幾何学の基本的不変量
 18世紀の偉大な数学者レオンハルト・オイラーが考案したとされる位相幾何学における有名な不変量、オイラー標数について考察する。2次元の図形Mを三角形に分割したときの「頂点の数−辺の数+面の数」をMのオイラー標数χ(M)という。この値はM を連続的に変形しても変わらない位相不変量である。「M が多面体のときχ(M)=2となる」という主張はオイラーの多面体定理と呼ばれる。四面体でも八面体でも十二面体でも球面でもみな同じく2となる。穴がg個ある向きのついた閉曲面Mgではχ(Mg)=2(1-g)となる。このシンプルな位相不変量は意外な形で様々なところに現れる。例えば、曲面のガウス曲率Kを曲面全体で積分するとその値は2πχ(Mg)となる。これは曲面の曲がり方と位相不変量を結びつけるガウス・ボンネの定理と呼ばれる画期的な結果である。閉曲面上にどのようなベクトル場が描けるかについてもオイラー標数が大きく関係している。オイラー標数は高次元の多様体でも定められる。

講師

土屋 あい子(つちや あいこ) 元国際基督教大学 上級准教授
 1950年三重県生まれ。津田塾大学学芸学部数学科卒業。津田塾大学助手を経て、78年より国際基督教大学教養学部理学科、2008年よりアーツサイエンス学科の数学教師。
 専門は位相幾何学で、特に多様体と呼ばれる物体に群が作用する様子を研究する変換群論を専門とする。

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