講座詳細
証言が描く、独ソ戦・チェルノブイリ原発事故・ソ連崩壊 ―アレクシエーヴィチ文学を手がかりに―【教室・オンライン同時開催】
みたか地球市民講座
講座趣旨
証言が描く、独ソ戦・チェルノブイリ原発事故・ソ連崩壊―アレクシエーヴィチ文学を手がかりに―
ノーベル文学賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの作品はすべて、ソ連時代のカタストロフに巻き込まれ、国家の抑圧に晒された「普通の人々」からの聞き書きの書です。悲惨極まりない出来事を扱った文学が、一方では得も言われぬ豊かさをたたえていることの秘密を皆さんと一緒に解明していきたいと思います。それは、ソ連時代の過酷な経験ですが、同時にウクライナ侵攻や、性的マイノリティの犯罪化など、プーチンが統治している非民主的なロシア社会のリアルについて改めて考えるきっかけとなるかもしれません。
「みたか地球市民講座」とは
(1)「不安な時代」を生き抜くための学び
終身雇用の崩壊、新型コロナウイルス感染症の流行など、先行きの見えない「不安な時代」にわたしたちは生きています。こうした時代にこそ、学びを通して確かな視座を構築していきましょう。
(2) 地域から世界を考える
地域から国全体や世界を考える、ボトムアップ型の講座です。三鷹という地域から地域や世界を見渡し、一緒にじっくり考えていきましょう。
(3)地域の“大学”としての新たな取り組み
三鷹ネットワーク大学は地域性を生かし、コミュニティを育み、学びを創出する、地域の“大学”です。「みたか地球市民講座」を通して、みなさんと協働して新たな学びを創っていきましょう。
※教室での受講が基本ですが、オンラインでも受講可能です。初回にオンライン参加の方はお申し込み時にお知らせください。
講座概要
講座日程 |
2023年 1月 7日 (土) 〜2023年 3月18日 (土) |
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時間 | 下記をご確認ください。 |
定員 | 24 人 (先着制) |
回数 | 5回 (通し受講) |
受講料 | 一 般 3,000 円 市 民 2,500 円 市民在勤・在学 2,500 円 市 民 学 生 2,500 円 会 員 円 |
難易度 | ★★☆ |
会 場 | 下記をご確認ください。 |
受付期間 | 12月6日(火)午前9時30分〜2023年1月17日(金)午後9時 |
※スクロールしてご確認ください→
日程 | 開催時間 | 会場 | 担当講師 | 内容 |
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第1回 1月 7日 |
14時00分〜15時30分 | 三鷹ネットワーク大学・オンライン | 石丸 敦子 | 『戦争は女の顔をしていない』を読む ソ連では、百万人を超える若い女性たちが志願して、本格的な戦闘要員として独ソ戦に従軍しました。作家の第1作『戦争は女の顔をしていない』は、封印されてきた元女性兵士の誇りと苦悩の記憶を聞き取ったものです。テクストとの密なる対話を通して、明示的には語られていない戦時性暴力についても考えてみます。 |
第2回 1月28日 |
14時00分〜15時30分 | 三鷹ネットワーク大学・オンライン | 石丸 敦子 | 『チェルノブイリの祈り』を読む(1) 第4作『チェルノブイリの祈り』は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の犠牲者の物語です。不可視の核の被害にどう対峙すればいいのかという段階から、未来の迎え方を自ら決定しようとする段階までの多くの証言を、ある形式構造のなかに配列した作家の構想力について、読み解きます。 |
第3回 2月18日 |
14時00分〜15時30分 | 三鷹ネットワーク大学・オンライン | 石丸 敦子 | 『チェルノブイリの祈り』を読む(2) ソ連国家は、事故処理や除染作業という核との闘いに、軍隊ばかりかソ連全土から召集した予備役を投入しました。それは、どこか今日のウクライナ戦争のなかの光景とも重なります。チェルノブイリの兵士たちは、命がけの危険な任務に異を唱えることなく従事したのですが、そこには「男らしさ」の力学と陥穽があることについて考えてみます。 |
第4回 3月 4日 |
14時00分〜15時30分 | 三鷹ネットワーク大学・オンライン | 石丸 敦子 | 『セカンドハンドの時代』を読む 1991年に社会主義帝国ソ連が崩壊した後の10年は、市場経済への移行が行き詰まり、国家はデフォルトまで経験します。自由は幻想にすぎないという考え方が浸透し、とくにプーチンが政権の座について以後には、権力者によってスターリン時代の記憶までもが利用されるようになりました。ソ連時代の人間像について考えます。 |
第5回 3月18日 |
14時00分〜15時30分 | 三鷹ネットワーク大学・オンライン | 石丸 敦子 | 〈証言文学〉とは何か 「証言文学とは何か」を定義することは思いのほか困難なことです。一部で誤解されているように証言を羅列したというだけではなく、作家はそこに批判的知性を介入させ、周到に作品を作り上げているからです。その形式や歴史性を検討し、証言文学一般が持つ特性と、アレクシエーヴィチ文学がどのようにその可能性を押し広げようとしているかを見ていきたいと思います。 |
講師
石丸 敦子(いしまる あつこ) | 東京外国語大学大学院総合国際学研究院特別研究員、博士(学術)
三人の子どもたちが中学生と高校生になった時期に、自分も再度受験生となり、東京外国語大学外国語学部のロシア語専攻へ入学しました。人生二度目の学究生活に苦労しながら、なんとか大学院にまで進み、2022年9月には念願の博士号(学術)を取得することができました。今回論じるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの証言文学を中心に、証言文学という形式の諸作品に取り組んでいます。 |