講座詳細
数学の夕べ10月 層
―《現代数学の基礎概念》4
講座趣旨
“数学の夕べ”
数学は新たな視点を加えながら現在も発展を続けています。特に近代以降の数学から数多くの興味深いトピックが生まれました。容易にはアクセスできず、知られていないものも多くあります。
近年は、数学についての啓発的な書物も多く出版され、三鷹ネットワーク大学で開講する小林一章先生の講座を含め、興味深いトピックがより深く取り上げられる機会も増えています。
本講座では、そのような興味深いトピックの中から一つ選んで、数学の視点や発展の様子などを紹介していきたいと思います。講座の中で、必要な予備知識も出来るだけ説明する予定です。
講座概要
講座日程 | 2019年10月25日 (金) |
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時間 | 19:00〜20:30 |
定員 | 30 人 (先着制) |
回数 | 1回 |
受講料 | 500 円 |
難易度 | ★★☆ |
会 場 | 三鷹ネットワーク大学 |
受付期間 | 9月17日(火)午前9時30分より |
※スクロールしてご確認ください→
日程 | 開催時間 | 会場 | 担当講師 | 内容 |
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第1回 10月25日 |
19時00分〜20時30分 | 三鷹ネットワーク大学 | 清水 勇二 | 今回は、層の概念を取り上げる。層は幾何的文脈において、局所と大域を結びつけるものである。層は基本的な概念であるにも関わらず、その登場が比較的最近の20 世紀中葉であったので、一般には知られていない。 層のルーツはトポロジーにあり、解析学者のルレイが第2 次世界大戦時に捕虜であったときに発明したものである。層は大戦後すぐに、H.カルタンとセールにより多変数複素関数論に応用された。それは転じて複素幾何学や代数幾何学の基本的道具となった。それはまたホモロジー代数と圏論の展開と同時であった。さらに、数理論理学にも応用されている。 講義では、関手としての定式化とエタール空間としての定義から始める。関数の層を例として、関数の芽、層の断面、層の準同型射、層の完全列を説明する。コホモロジーとのつながり、そして層のなす圏が位相空間の一般化であることにも触れよう。 |
講師
清水 勇二(しみず ゆうじ) | 国際基督教大学 教授
東京生まれ。東京大学理学部卒業。東北大学、京都大学を経て、2000年から国際基督教大学に在職。現在、教養学部教授。専門は代数幾何学、特にホッジ理論で、リーマン面のモジュライの共形場理論への応用も研究している。 著書に、『複素構造の変形と周期』(岩波書店、上野健爾氏と共著)、『基礎と応用 ベクトル解析』(サイエンス社)、『圏と加群』(朝倉書店)、翻訳に『数え上げ幾何と弦理論』(S.カッツ著、日本評論社)がある。 |