大人のための音読講座（ワークショップ付朗読会）三鷹ゆかりの作家・作品たち（58）
太宰治の「乞食学生」より その１

◆みなさんで声に出して作品を味わいます…。
 

　これまでの読書は黙読が中心でした。声に出して読む、つまり音読すると、文章がより立体的になり、新たな世界を発見できます。読書の新しい方法として、声に出して味わう音読を体感してみませんか？ここではプロの朗読家のような正しいアクセント、明瞭な発声などは必要ありません。必要なのは、素直に物語を捉え、その気持ちをそのまま音にすることです。

　台詞、ト書き、主人公が語り手となる独白体など、 感じたままに自然に声を出す音読の楽しさをお伝えします。
　講師による朗読と、参加者の皆さんで音読するワークショップ付の講座です。

　久しぶりに太宰治の作品を取り上げます。太宰がよく散歩をし、また終焉の場所として選んだ玉川上水が舞台の物語で、井の頭池近くの茶店も出てきます。
　４月半ばのある日、主人公が玉川上水沿いを歩いていると、真っ白い裸の少年が泳いでいるのを目にします。当時、「人喰い川」と呼ばれた玉川上水、主人公は慌てて走って追いかけると、いつの間にか、少年は草原に仰向けに寝ていました。少年と連れ立って茶店へ行き、今度は少年の友人に会うために渋谷に行くのですが…気がつくと、主人公は草原に寝そべっていたのです。会話の多い作品です。会話のテンポを楽しみましょう。