大人のための音読講座（ワークショップ付朗読会）三鷹ゆかりの作家・作品たち（４４）
田中英光の作品「師 太宰治『鴎と鍋鶴』」より その１

講座趣旨

◆みなさんで声に出して作品を味わいます…。

　これまでの読書は黙読が中心でした。声に出して読む、つまり音読すると、文章がより立体的になり、新たな世界を発見できます。読書の新しい方法として、声に出して味わう音読を体感してみませんか？ここではプロの朗読家のような正しいアクセント、明瞭な発声などは必要ありません。必要なのは、素直に物語を捉え、その気持ちをそのまま音にするということです。
　台詞、ト書き、主人公が語り手となる独白体など、 感じたままに自然に声を出す音読の楽しさをお伝えします。

　講師による朗読と、参加者の皆さんで音読するワークショップ付の講座です。

　昭和24年11月３日、三鷹市禅林寺の太宰の墓前で自らの命を絶った田中英光。「師 太宰治」(1994年津軽書房より出版)には、太宰治に対する強い感謝の思いが回想やエッセイで綴られています。「鴎と鍋鶴」は、田中が戦地から太宰へ送った小説についての太宰の考えや、文壇デビューに太宰の後押しがあったことなどが書かれています。
　オリンピックの漕艇選手でもあった田中は、作家生活こそ短かったが、池谷賞（日本文学振興会）を受賞するなど、将来を期待された作家でした。その才能をどうやって磨いていったのかを探りながら、音読を楽しみましょう。